通りかかった店員に「このケージの犬、かわれたんですね?」と私は尋ねた。




「いえ、まだいますよ。裏でご飯食べてますよ」




そうか。

嬉しいような気が重くなるような変な気持ちだった。





次の日はパパと一緒にペットショップに行った。





パパは犬を飼うためには何が必要か、そのための費用の概算はいくらになるのか店員に質問した。

そして犬を飼う10年の生活をシミュレーションするため長考に入った。パパはペットショップのソファーに腰を据えてジッと動かなくなった。



「犬を飼う事を、このくらい真剣に考えて下さると安心ですね」と言った店員の言葉が忘れられない。



パパが動かなくなっている間に、私はその犬を初めて抱いた。

ペロリと鼻をなめられて、チラリと白目を見せて見上げる瞳と目が合った。




可愛かった。

まつ毛の長い犬だった。

気持ちが通じ合える予感がした。




「よし、飼おう」

パパが再び動きだし、我が家に犬がやって来ることになった。




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シュナプー3歳