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シュナウザーとトイプーのMIX犬を飼っている。

シュナプーとかプーシュナというらしい。



3年前にペットショップで出会った。

店で売れ筋の生後2ヶ月や3ヶ月の小さな子犬はガラス張りの目立つショーケースに入っていたけど、この子は【ハロウィンセール3万円】と書いた値札が貼られた隅のワイヤーのケージに入っていた。



生後4か月が過ぎていて大きな子犬だった。

ワクチン接種も役所への登録も済んでいて、その費用はペットショップ持ちだった。生体価格3万円ポッキリ支払えば自分の犬になる、真のセール犬だった。



その子犬は黒い毛玉のように丸まっていた。

揃えた小さな前足にあごをのせ、チラリと白目を見せて、私を見上げた。

全てをあきらめたような疲れた顔に見えた。




次の日もペットショップへ行った。犬はまだいた。




そのまた次の日に、近所の公園に行くと、可愛いトイプーを散歩させているおじいさんと出会った。

可愛いですね、と声を掛けるとおじいさんはトイプーを飼う事になったいきさつを話してくれた。


この犬はペットショップで売れ残って、保健所で処分されることになっていた犬だ、と。

「娘に、可哀想だから飼いたいと頼み込まれて仕方なく飼うことにしたんだ。僕は犬を飼うつもりなんて全くなかったのにさ」と言って、おじいさんは犬を見て目を細めた。





急いでペットショップに向かった。




犬の入っていたケージは空だった。

通りかかった店員に「このケージの犬、かわれたんですね?」と私は尋ねた。



「いえ、まだいますよ。裏でご飯食べてますよ」





そうか。

嬉しいような気が重くなるような変な気持ちだった。






次の日はパパと一緒にペットショップに行った。




パパは犬を飼うためには何が必要か、そのための費用の概算はいくらになるのか店員に質問した。

そして犬を飼う10年の生活をシミュレーションするため長考に入った。パパはペットショップのソファーに腰を据えてジッと動かなくなった。



「犬を飼う事を、このくらい真剣に考えて下さると安心ですね」と店員は言った。



パパが動かなくなっている間に、私はその犬を初めて抱いた。

ペロリと鼻をなめられて、チラリと白目を見せて見上げる瞳と目が合った。



可愛かった。

まつ毛の長い犬だった。

気持ちが通じ合える予感がした。




「よし、飼おう」

パパが再び動きだし、我が家に犬が来ることが決まった。